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書誌学、文献学にかかわるテーマで研究を展開する「書物學」。
冊子名:書物學 Vol.24
特集:100年ぐらい前の本づくり 近代日本の製本技術
制作:勉誠社
発売:勉誠出版
2023年8月31日発行
サイズ:18 × 26 × 1 センチ
<目次>
総論 100年くらい前の本づくり 木戸雄一
年表で見る100年くらい前の本づくり
洋式製本を理解するための用語集
『仏蘭西法律書』『改正西国立志編』解体調査レポート 木戸雄一
対談 解体調査からみた明治初期の洋式製本 岡本幸治×木戸雄一
『西国立志編』洋装活版本の印刷と製本 田中栞
パターソンの洋式製本伝習についての基礎研究 木戸雄一
「ボール表紙本」名称考 木戸雄一
近世戯作の洋装本化 山本和明
博物館紹介 市谷の杜 本と活字館
◎連載 書物学こと始め
【書物の声を聞く書誌学入門 第22回】 佐々木孝浩
【松朋堂新収古書解題 第5回】佐藤道生
【書籍はどう動いたのか―近代書籍流通史料の世界06】 磯部敦
西洋古書の遠近法 vol.12 雪嶋宏一
<勉誠出版さんの今号の紹介文>
維新からわずか半世紀の間に、本の形は目まぐるしく変化した―
幕末明治期、米欧からもたらされた諸種の技術や制度は、書物の世界にも大きな影響を与え、和装本から洋装本への転換が進んでいった。
しかし、その道程が一筋縄で行くものでなかったことは、いまに残された書物の驚くべき多彩な製本形態からも伺うことができる。
近代初期洋装本の解体調査・書誌調査から見えてくる製本の裏側、和装から洋装へと移行する過渡期の書物のあり様を具に検討することにより、日本における洋装本定着の端緒を明らかにする。
※2022年3月10日(木)~2022年7月10日(日)に市谷の杜 本と活字館にて開催され、コアな書物ファンに大好評を博した「100年くらい前の本づくり」展を誌上再現!
<書物學 刊行のことば>
書物は人類の英知の結晶である。中国やエジプトにおけるその期限は幽にして遠、ただ仰ぎ見るばかりである。
それらに較べれば、中国文明に接するまで文字をもたなかった日本の書物の歴史は、短い。しかし、漢字を学び、漢文訓読という読解法を編みだし、そこから派生した片仮名、さらに漢字を表音文字として使用する平仮名という文字を生みだし、それらを駆使して、多くの書物が書かれてきた。「女手」とよばれた平仮名による女性著述の歴史も、千年を超える。
漢字、片仮名、平仮名。一つの言語が三つの文字体系をもち、それらを使い分けて書物は書かれ出版された。そのような言語、そのような国はあるだろうか。
いま、書物は急速に「物」の次元を超え、手に触れることのできない電子の世界に移行しようとしている。それもまた人類の驚異的な英知の成果にほかならない。
これまでに蓄積されてきた書物をめぐる精緻な書誌学、文献学の富を人間の学に呼び戻し、愛書家とともに、洋の東西を隔てず、現在・過去・未来にわたる書物論議を展開する場として、ここに『書物學(Bibliology)』を創刊する。
本書の創刊が、書物を研究し書物を愛でる人々による「書物の人間学」への機縁となることを期待したい。
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